「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第一》 昼寝2


画/近藤浩一路

 彼は胃弱で皮膚の色が淡黄色を帯びて、弾力のない不活発をあらわしている。そのくせに大飯(おおめし)を食う。大飯を食った後でタカヂアスターゼ(胃薬)を飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二、三ページ読むと眠くなる。よだれを本の上へたらす。これが彼の毎夜繰り返す日課である。
 吾輩は猫ながら時々考える事がある。教師というものは実に楽なものだ。人間と生まれたら教師となるに限る。こんなに寝ていて勤まるものなら猫にでもできぬ事はない、と。
 それでも主人に言わせると教師ほどつらいものはないそうで、彼は友達が来るたびになんとかかんとか不平を鳴らしている。


「タカヂアスターゼ」
高峰譲吉が1894年に創製した消化剤の商品名。消化酵素のジアスターゼに発明者名の「タカ」をつけて命名。

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