「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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埼玉のタビネコさんから、「姥子問答」に関する論文が ! [3 完]

長くなりましたが最後に2点。

「姥子問答」 [3] で、『箱根彩景』の古写真に複数の茅葺屋根の棟が写っていることから、「当時、姥子に他に温泉宿がなかった」ことへの疑問を持っておられますが、この写真に写っている複数の家屋は1つの温泉施設の一画ではないかと思います。
写っている棟の大きさからすれば、1棟に宿の全機能を納めるのは無理かと…。
また、棟から棟に板を渡しているのが写っていますが、田山花袋の『箱根紀行』(明治41年 1908)に、ちょうどこのような情景に合致する記述があるのです。

もう1点は、「姥子問答」 [4] の秀明館岩風呂の画像について。
「パンフの画像はリノベーション前のものを使っていますね。」とありますが、パンフの画像はリノベーション ”後” のものです。ちなみに女湯です。
湯没 ? していて分かりづらいですが、岩盤からの湧泉が溜まっている湯壺と手前の浴槽との間が仕切られています。「リノベーション後は入れなくなった」という某サイトの記述は、奥の湯壺に直接浸かれなくなったことを指しているのでは…

と思ったのですが、いかがでしょうか ?

自然の崖面に浴舎をドン付けしているので、安全面や泉源保護という現実的な観点からの措置と思いますが、しつらえとして「結界」と書かれた竹棒が渡し掛けられ、しめ縄が掲げられて、神聖な雰囲気が醸し出されています。

もう1つ特徴的なのが左壁面の配管類。湧泉が適温のときやぬるめなら、写真のように湯壺から浴槽側に溢れてきて大歓迎…ですが、熱すぎるときもあるわけで。
熱ければ加水するのが一般的ですが、それだと温泉の成分が薄まってしまってもったいない…ということで、湯本の天山で採用されてきたという方式「熱交換器」がここでも使われています。
画像一番奥の湯壺に突っ込んだ管から湯を汲み上げ、手前の熱交換器 (外観はただの太い管) を経由して、浴槽には適温の源泉が注入されています (写真湯壺側の注ぎ口)。

熱交換器の原理は、二重管の内側の管に熱い源泉、外側の管に冷却水を通すことで、源泉は加水されることなく冷却される…ということのようです。

一方、手前の注ぎ口はおそらく揚湯泉 (元箱根20号泉) と思われます。画像のように崖面 (元箱根4号泉) から盛んに自然湧出しているときは、この注入口は止まっています。
泉質は概ね同じと思うのですが、漱石さんも体験したであろう、崖面から盛んに自然湧出するお湯に浸かれるのはまた格別です。

いきなりのメールなのに長いメールで大変恐縮です。。。
一旦失礼させて頂きますが、建物についてもいろいろあって書き切れません。
J・KOYAMA様がご迷惑でなければ、そしてご興味があれば、機会を改めてまたメールさせて頂ければ…と思います。

                                  タビネコ


…以上、全文を掲載しました。
「姥子問答」における疑問点は、かなりの信憑性を持って解明されたかと思います。あとは、漱石の名が書かれているはずの宿帳が、何処かから発見される日を待ちましょう。

理解に温泉の専門知識を要求される部分もありますが、後年誰かに読まれ、重要な資料として使われる可能性は大きいです。
また、「この論文、ブログの主旨と離れすぎているのでは」という声もありましょうが、コレも「猫」関連で、無名時代の漱石を探求する重要な研究かと。
ついては、タビネコさんの続稿を期待するものです。
                                (J・KOYAMA)
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