「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第二》 おおかた熊の絵

 また、いわんや同情に乏しい吾輩の主人のごときは、相互を残りなく解するというが愛の第一義であるということすらわからない男なのだからしかたがない。彼は性(しょう)の悪い牡蠣(かき)のごとく書斎に吸いついて、かつて外界に向かって口を開いた事がない。それで自分だけはすこぶる達観したような面構え(つらがまえ)をしているのはちょっとおかしい。達観しない証拠には現に吾輩の肖像が目の前にあるのに少しも悟った様子もなく、「今年は征露の第二年目だからおおかた熊の絵だろう」などと気の知れぬことをいってすましているのでもわかる。



「今年は征露の第二年目だからおおかた熊の絵だろう」
「猫」発表の前年・明治37年(1904)は、日露戦争の起こった年。敵国ロシアは、熊にたとえられていた。



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- | 2010/07/09 9:17 AM
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