「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第二》 砂糖壺2


画/近藤浩一路


 見ている間に一杯一杯一杯と重なって、ついにはふたりの皿には山盛りの砂糖がうずたかくなって、壺の中には一匙の砂糖も余っておらんようになったとき、主人が寝ぼけまなこをこすりながら寝室を出て来て、せっかくしゃくい出した砂糖を元のごとく壺の中へ入れてしまった。こんなところを見ると、人間は利己主義から割り出した公平という念は猫より優っているかもしれぬが、智恵はかえって猫より劣っているようだ。そんなに山盛りにしないうちに早くなめてしまえばいいにと思ったが、例のごとく、吾輩の言う事などは通じないのだから、気の毒ながらお櫃(おはち/飯びつ)の上から黙って見物していた。



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