「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

《第二》 主人の帰宅


画/下高原千歳


 寒月君と出掛けた主人はどこをどう歩いたものか、その晩遅く帰って来て、翌日食卓についたのは九時頃であった。例のお櫃(おはつ/飯びつ)の上から拝見していると、主人はだまって雑煮を食っている。お代わりをしては食い、お代わりをしては食う。餅の切れは小さいが、なんでも六切れか七切れ食って、最後の一切れを椀の中へ残して、「もうよそう」と箸を置いた。他人がそんなわがままをすると、なかなか承知しないのであるが、主人の威光を振りまわして得意なる彼は、濁った汁の中に焦げただれた餅の死骸を見て平気ですましている。



第二章 CHAP.2 | permalink | comments(0) | - | - | - |
【前のページ】<< 《第二》 砂糖壺2 | 【TOP】 |《第二》 タカヂアスターゼ >>【次のページ】



この記事に対するコメント

コメントする










RECENT COMMENTS
MOBILE
qrcode
PROFILE