2006.10.16 Monday
登場猫(人物)紹介
「吾輩」
角川文庫 昭和62年6月10日 改版56版 | ||||
珍野 苦沙弥(ちんの くしゃみ)
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珍野夫人 特徴:ハゲがある。 | おさん 珍野家の下女。 (お手伝いの女性) 『おさん』は、 台所で働く下女の通称。 『おさんどん』から。 名前は『清』。 | |||
珍野家の子女 左から、 とん子 すん子 めん子 | ||||
雪江 苦沙弥先生の姪の女学生。 かかとのまがった靴、紫色の袴、 そろばん珠のようにふっくら結った髪型の、 当時の「イマドキの女学生」。 折々の日曜に苦沙弥先生宅にやって来ては 苦沙弥先生と喧嘩をして帰って行くおきゃんな少女。 | ||||
車屋の黒(クロ) 人力車引きの主人の姿を投影したであろう、べらんめえ口調の江戸っ子な猫。いわゆるボス猫。 | 二弦琴のお師匠さんちの 三毛子(みけこ) 夭折の美少女猫。 | |||
迷亭(めいてい) 苦沙弥先生の友人の美学者。ホラ話で人をかついで楽しむのが趣味。四六時中、酩酊(めいてい)しているような人柄。(美学者・大塚保治がモデルともいわれるが漱石は否定したという) | ||||
水島 寒月 (みずしま かんげつ) 理学者で、苦沙弥先生の元教え子。典型的理系思考の不思議ちゃんタイプ。(寺田寅彦がモデルといわれる) | ||||
越智 東風 (おち とうふう) 詩人で、寒月の友人。芸術に傾倒しすぎて、ちとズレた思考の人。 本人は自分の名前は「とうふう」ではなく、あくまで「おち こち」と訓読することを主張。(「遠近」(おちこち)という成語がある) | ||||
八木 独仙 (やぎ どくせん) ヤギヒゲ禅語魔神。 『電光影裏に春風をきる』が十八番の苦沙弥先生の同窓。 ヤギヒゲが特徴の哲学者然とした人物で、耳に触りのいいいかにもな『東洋流 消極的の修養』論と禅語を振りかざしている。が、今ひとつ悟りきってはおらず、『無覚禅師』(覚(さと)ることなしの意)というあだ名を頂戴している。迷亭曰く「禅坊主崩れ」。 | ||||
金田 鼻子(かねだ はなこ) 「鼻子」は、『吾輩』による命名。本名不詳。 向こう横丁の角地にお屋敷を構える実業家・金田氏の奥方。苦沙弥先生を目の敵にし、札びらで人の頬を叩くような真似ばかりしている。 | ||||
金田(かねだ) 鼻子夫人の夫君。 似たもの夫婦。 | ||||
金田富子 金田家のご令嬢。 寒月との縁談話がある。 こんなのを嫁にしたら、さだめし難儀な夫婦生活であろうと思わせられる高飛車お嬢様。 | ||||
鈴木 藤十郎(すずき とうじゅうろう) 学生時代に苦沙弥先生たちと同じ釜の飯を食っていた、かつての仲間。現在は、実業家街道驀進中。 苦労と心配と争論なく物事が進むのを望む極楽流の人。極楽主義によって金時計をぶら下げ、極楽主義で金田夫妻の手下になっている。 | ||||
多々良 三平 (たたら さんぺい) 苦沙弥先生宅の元書生。現在は六つ井物産勤務。 唐津(佐賀)訛りの天衣無縫なタイプ。「吾輩」を猫鍋にして食べようと提案した。 しかし、最後の最後で、ちゃっかり実業家としてはうまいことやって、このキャラクターに対する漱石の愛憎はフクザツそうだな、との感慨アリ。 | ||||
迷亭の伯父さん (めいていのおじさん) 江戸時代の化石的人物。 洋服を着ていようが、白髪にちょんまげを結い、鉄扇を肌身離さぬ、武士な心意気の礼儀正しいご老体。 | ||||
甘木先生 (あまきせんせい) 珍野家かかりつけの医者 | ||||
古井 武右衛門 (ふるい ぶえもん) すこぶる巨大なイガグリ頭が特徴の苦沙弥先生の教え子。 学校で苦沙弥先生をからかったり困らせたりしている問題児。なのに、その自らの行いの悪さは棚にあげて、困った時には助けてもらおうという調子のいい思慮足らずな学生。 | ||||
素材/篆刻素材AOI |
同期生で友人狩野亨吉がモデルとも言われますが、いかがでしょうか。