「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第三》 飛び下りてみろ


映画(1975) より

「この間などは赤ん坊にまでなめさせまして……」
「ジャムをですか」
「いいえ。大根おろしを……あなた。『坊や、お父様がうまいものをやるからおいで』って、――たまに子供を可愛がってくれるかと思うとそんな馬鹿な事ばかりするんです。二、三日前には中の娘を抱いて箪笥(たんす)の上へあげましてね……」
「どういう趣向がありました」と迷亭は何を聞いても趣向ずくめに解釈する。
「なに、趣向もなにもありゃしません、ただその上から飛び下りてみろと言うんですわ、三つや四つの女の子ですもの、そんなおてんばな事ができるはずがないです」
「なるほど、こりゃ趣向が無さ過ぎましたね。しかしあれで腹の中は毒のない善人ですよ」
「あの上、腹の中に毒があっちゃしんぼうはできませんわ」と細君はおおいに気炎を揚げる。



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