「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第六》 玉子のフライ



 迷亭はそんな事には頓着なく「奥さん、昨日はね、屋根の上で玉子のフライをしてみましたよ」と妙な事を言う。
「フライをどうなさったんでございます」
「屋根の瓦があまりみごとに焼けていましたから、ただ置くのももったいないと思ってね、バターを溶かして玉子を落としたんでさあ」
「あらまあ」
「ところがやっぱり天日(てんぴ)は思うようにいきませんや。なかなか半熟にならないから、下へおりて新聞を読んでいると客が来たもんだからつい忘れてしまって、今朝になって急に思い出して、もう大丈夫だろうと上がって見たらね」
「どうなっておりました」
「半熟どころか、すっかり流れてしまいました」
「おやおや」と細君は八の字を寄せながら感嘆した。



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