2007.02.26 Monday
《第七》 吾輩と運動3

それだから吾輩が、運動、海水浴、転地療養の歴史を方寸のうちに畳みこんでいたってちっとも驚くに足りない。これしきの事をもし驚く者があったなら、それは人間という、足の二本足りないノロマにきまっている。人間は昔からノロマである。であるから近頃に至ってようよう運動の功能を吹聴(ふいちょう)したり、海水浴の利益を喋々(ちょうちょう/しきりにしゃべること。「喋」は「しゃべ(る)」とも訓読できる語)して大発明のように考えるのである。吾輩などは生まれない前からそのくらいな事はちゃんと心得ている。