「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第八》 ぐるりの事3


長山靖生「吾輩は猫である」の謎(1998 文春新書) より

 しかしこの下宿が群鶴館なら先生の居(きょ)はたしかに臥竜窟(がりょうくつ/まだ世に知られないでいる大人物が住んでいる所)くらいな価値はある。名前に税はかからんからお互いにえらそうな奴を勝手次第につける事として、この幅五、六間(約9〜11m)の空き地が、竹垣を添うて東西に走る事約十間(約18mほど)、それからたちまち鉤(かぎ)の手に屈曲して、臥竜窟の北面を取り囲んでいる。この北面が騒動の種である。本来なら空き地を行き尽くしてまた空き地、とかなんとか威張ってもいいくらいに家の二側(ふたがわ)を包んでいるのだが、臥竜窟(がりょうくつ)の主人はむろん、窟内の霊猫たる吾輩すらこの空き地には手こずっている。


第八章 CHAP.8 | permalink | - | - | - | - |
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