「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第十》 しめ出しとのら犬


画/司 修

 声盲だって片輪に違いない。片輪のくせにいやにえらそうなものだ。夜中なぞでも、いくらこっちが用があるから開けてくれろと言っても決して開けてくれた事がない。たまに出してくれたと思うと今度はどうしても入れてくれない。夏だって夜露は毒だ。いわんや霜(しも)においてをやで、軒下に立ち明かして日の出を待つのはどんなに辛いかとうてい想像ができるものではない。この間締め出しを食った時なぞは、野良犬の襲撃をこうむってすでに危うく見えたところを、ようやくの事で物置の屋根へかけ上がって終夜ふるえつづけた事さえある。これらは皆、おさんの不人情から胚胎(はいたい/物事の起こる原因やきざしが生じること)した不都合である。


第十章 CHAP.10 | permalink | comments(0) | - | - | - |
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