「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
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《第拾一》 アーメン


画/アルフォンス・ミュシャ

「しかしこの石でも殺さなければ、僕の方は少し負けになりそうだから……」
「君は最初から負けても構わない流じゃないか」
「僕は負けても構わないが、君には勝たしたくない」
「とんだ悟道だ。あいかわらず春風影裏(しゅうんぷうえいり)に電光(でんこう)をきってるね」
「春風影裏じゃない、電光影裏だよ。君のは逆さだ」
「ハハハハ。もうたいてい逆さになっていい時分だと思ったら、やはりたしかなところがあるね。それじゃしかたがない。あきらめるかな」
生死事大(しょうしじだい)、無常迅速(むじょうじんそく)(【禅語】生死は自分自身の一大事であり、無常の事実は迅速に迫ってくるので、待ったなしの問題である)、あきらめるさ」
「アーメン」と迷亭先生、今度はまるで関係のない方面へぴしゃりと一石を下した。


「生死事大、無常迅速」
『六祖壇経』に「覚曰く、生死事大無常迅速なり」。
『園悟心要』に「常に生死事大無常迅速を以て意となして、しばらくもほしいまますべからず」。


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