「吾輩は猫である」

  挿画でつづる漱石の猫 I AM A CAT illustrated
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

《第拾一》 ヴァイオリンで一句


蕪村の書画

「ヴァイオリンも抱いて寝たのかい」
「ヴァイオリンは大き過ぎるから抱いて寝る訳にはいかないんですが……」と言いかけると、「なんだって? ヴァイオリンを抱いて寝たって? それは風流だ。『行く春や 重たき琵琶(びわ)の だき心』という句(与謝蕪村の句)もあるが、それは遠きその上(かみ)の事だ。明治の秀才はヴァイオリンを抱いて寝なくっちゃ古人を凌(しの)ぐ訳にはいかないよ。
 『かい巻(小形で、綿を薄く入れた袖付きの夜着。掛け布団の下に掛ける)に 長き夜、守(も)るや ヴァイオリン』、はどうだい。東風君、新体詩でそんな事が言えるかい」と向こうの方から迷亭先生、大きな声でこっちの談話にも関係をつける。


第十一章(最終章) CHAP.11 | permalink | comments(0) | - | - | - |
【前のページ】<< 《第拾一》 寒月の鰹節3 | 【TOP】 |《第拾一》 新体詩は俳句と違う >>【次のページ】



この記事に対するコメント

コメントする










RECENT COMMENTS
MOBILE
qrcode
PROFILE