2007.10.02 Tuesday
映画『吾輩は猫である』 (1936)
「猫」の最初の映画化であるが、大期待して観るとちょっとガッカリ。90分弱では多くのエピソードは盛り込めないし、猫のモノローグは無く人間ドラマのかたわらに吾輩が居るだけという印象。それ以前に吾輩の登場場面が少ないのだ。
日露戦争当時の世相が第一次世界大戦当時 (青島攻撃などが新聞記事で示される) に置き換わり、独仙も三毛子も黒も登場しないなど原作を“読んでから観る”派は辛かろう。
ただ、戦前に撮られているので風景描写などに味がある。この空気感は戦後作品では出せないものだ。このブログでも多くの写真を使用させていただきました。
監督の山本は戦前派の巨匠だが、戦後はプログラムピクチュアが多くこんにちでは“黒澤明の師”と言うほうが通りがいいかも知れない。
・・・この映画の珍野家はセットなんですよね? ホンモノの千駄木邸でロケされたんじゃないよね ?
製作 = P.C.L.映画製作所 (東宝の前身)
1936.4.14 (昭和11年、東京・日本劇場での公開日)
10巻 2,393m 87分 白黒
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監督 (演出と表記) ...山本嘉次郎
脚本 ................小林勝
原作 ................夏目漱石
撮影 ................唐沢弘光
音楽 ................紙恭輔
美術 ................久保一雄
録音 ................道源勇二
配役
丸山定夫 (主人、珍野苦沙弥) (吾輩)
丸山はこの作品の前年、山本監督の『坊つちゃん』で山嵐を演じている。“桜隊 (さくら隊)”を率いて演劇慰問活動中、広島で被爆し終戦の翌日に亡くなった。
英百合子 (細君) 千葉早智子 (雪江)
(珍野家の子女) (おさん = 清)
この映画の珍野家子女は三姉妹でなく二人だけのようだ。
徳川夢声 (迷亭)
夢声は弁士、文筆家、俳優など多くの顔を持つマルチタレントとして今も人気が高い。
藤原釜足 (越智東風) 北沢彪 (水島寒月)
藤原は後に黒澤映画の常連となるなど名脇役として知られる。
清川玉枝 (金田鼻子) (金田氏) (金田富子)
鼻子役の清川は付け鼻で熱演。この役で好評を博したという。
宇留木浩 (多々良三平) (鈴木藤十郎)
清川虹子 (車屋のかみさん) 柳谷寛 (古井武右衛門)
※多くの役者名が不詳です。ご存じの方、どうかご協力下さい。
参考 日本映画データベース http://www.jmdb.ne.jp/1936/bl001440.htm
ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%BE%E8%BC%A9%E3%81%AF%E7%8C%AB%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B
※※2008年5月29日付でアップした、ミモザ様からのメールによって大半のキャストが判明しております。
なお、この場で誤記があるものは、あえて直しておりません。つき合わせてご利用下さい。
なお、おさん役の味のある女優さんの名は不明です。引き続き情報お待ちします。
(2010年9月26日 J・KOYAMA)
おさん役は「林喜美子」です。
たくさんの映画に出ています。
例えば「花つみ日記」や「夜の鳩」です。